ボルサリーノの帽子(48)
ふと立ち寄った古着屋の店内は人と物で溢れていた。
そんな雑多な店内を何気なく見渡していると、乱雑に置かれた一つの帽子が目に留まった。
僕の目には、それが周囲の服や小物や帽子とは、明らかに違った空気を発しているように見えた。
まるで粗大ごみ置き場の中にコルビジェの家具が混じっているような感じだ。
僕は惹き付けられるように、その帽子を手に取り、被ってみた。
やはり高級感や品性はすばらしい。僕は帽子を取り、裏を見て、値段を確認してみた。
2900円。
僕の予想に反し、破格の安さだった。
迷わず購入し、次の日、早速仕事場に被っていった。すると当時働いていたスタッフが興味津々に、その帽子を見せてほしいと言う。
彼にそれを手渡すと、彼は驚いたように、「これボルサリーノじゃないですか!」と声を上げて言ってきた。
「ボルサリーノ?」当時の僕は帽子のブランドどころか、そもそも帽子自体にほとんど興味が無かっただけに、彼の驚きの訳がなんなのか、さっぱりわからなかった。
そんな僕に彼は、この帽子はイタリアの最高級ブランドで、ゴットファーザーという映画でアル・パチーノが被っていただとか、キングカズこと三浦知良選手が被っているだとか、そんな説明をしてくれた。
その話を聞いて、僕はあのとき古着屋で直感的に感じたことは正しかったのだと思った。
また、以前に質屋の修行中は本物しか見ない(見せない)、という話を聞いた事があった。
それが僕に当てはまるかどうかはわからないし、ただの偶然かもしれないが、常に名作家具に囲まれた生活をしていたからこそ、そういったものを見抜けたのではないか、と漠然ながら思ったりもした。
どちらにしても、その後、このボルサリーノの帽子との出会いが僕の帽子好きの始まりになったのは事実だ。
そういう意味では例えその分野において無知でも、本物はその良さをきちっと教えてくれるのだなぁ、と思い知らされる出会いだった。
まあ、未だになぜあんな場所に、あんなに安い値段で売っていたのかは謎だが、、、、
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