V・パントンのファントムチェア(47)
表参道を南青山方面に歩くと根津美術館が交差点の先に見えてくる。
そのすぐ隣に、ちょっと個性的で、間口の狭いビルが聳えてっていて、その三階に小さなインテリアショップが入っていた。
入り口にはスペースエイジと呼ばれる、近未来的なデザインの家具が飾られ、その奥にも、ポップなデザインの照明や椅子たちが店内を彩っていた。
そんな異空間の中でも、一際異彩を放ち、僕の目を奪ったものがあった。
巨大な蛇のように、ぐにゃぐにゃと曲がりくねった色とりどりのプラスティックの塊。
それがデンマークが生んだ奇才、V・パントンのデザインしたファントムチェアだ。
このファントムチェア、実は4通りの使い方がある。
それぞれの面を下にすれば、ラウンジチェア、寝椅子、ペアチェア、テーブルへと変化するのだ。
また、それらを組み合わせれば、違った独創的なデザインが生まれる。
当時、そういったポップで個性的なデザインを好んでいた僕は、すぐにそんなファントムチェアの虜となった。
しかし、収入もさほどない僕にとって、それらは憧れでしかなく、目で愉しむだけの存在だった。
そんなある日、いつものように、表参道を歩き、そのショップに行くと、入り口のガラス扉に小さな張り紙が貼ってあった。
まさかとは思ったが、想像通りそれは閉店のお知らせだった。
インターネットの普及と共にそういった実店舗を持つメリットが無くなったのか、はたまた違う理由があったのかはわからないが、お気に入りだったショップが一つ無くなってしまったことに、僕は切ない思いを抱いた。
と同時に、失ってから初めてわかるとでも言うように、僕は無性にあのファントムチェアを欲しいという衝動に駆られ始めたのだ。
そして早速、インターネットで検索し、見つけ出したのがこの色違いの2脚。
今は店と寝室にそれぞれ置いてあるのだが、やはりその存在感は抜群だ。
またオブジェとしてだけでなく、ちょっと腰掛けたり、物を置いたりと意外にも日々の生活に溶け込み、重宝している。
思い出はもちろんのこと、個性だけではないそんな実用面も僕がこの椅子を手放さない理由の一つなのかもしれない。
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