「ヴィンテージ家具に注目が集まる訳」(後編)
前編、中編では、世界的な通貨安と進歩主義への懐疑心から、普遍的価値があるヴィンテージ家具の需要が高まったと話しましたが、今回は、その中でも、更に価値を高めるであろう家具と、逆に価値を高めないであろう家具の違いについて話していきたいと思います。
まず、価値を高めるであろう家具の条件を上げてみますが、逆説的にこの条件に当てはまらないものが、価値をそこまで上げないヴィンテージ家具であると解釈してもらって良いと思います。(もちろん例外もあります)
1)現在も人気が高いデザイナーのもので、復刻などがされている。
前編でも上げた巨匠デザイナーがデザインした家具の多くは現在も復刻、または生産され続けており、その人気が普遍的であるということを、歴史が証明しています。
よって、人々の心理は、今後も需要が落ちないであろうという方向へと向かうことで、一定の需要が担保され、価格の下落が起きづらいのです。(デザインが普遍的であるとも言えます)
2)極力自然素材が使われてる。
自然素材ではないプラスティックや金属のようなものは、劣化はしても味がでるといういうのはなかなか難しいものがあります。
やはり、古くなれば古くなるほど味が増すヴィンテージの魅力を最大限引き出すには、木材など自然素材であることが重要なのです。
しかし真鍮のように、中には金属でも経年変化を愉しめるものもあり、そういったものは価値が上がる事もあります。
3)現在には無い技術や手法、素材が使われている。
これはかなり重要なポイントで、工業化が進む以前の物は、手作業工程が多く、一つ一つ、微妙に形が違っていたりするというのが個性となり、ヴィンテージの魅力を押し上げている要因となっているのです。
また、コストの面や生分解性(環境面)、希少性の問題から、当時でしか使われていない素材や手法が使用されているものも、価値が上がりやすいのです。
4)強度があり、オリジナルの状態を保っている。
ファブリック(布)や皮(合皮も)は、使っていると擦れて破けてしまったりするので、その度に張り替えたりといったメンテナンスが必要になります。
しかし、そもそもヴィンテージは、当時から手を加えていないというのが、大事な点であり、新たに張り替えたり、ネジを交換したり、塗り直したりすることで、その価値が下がってしまいます。
よって、極力オリジナルのままで残るような、強度があるデザインで、かつ劣化しづらい自然素材の方が、価値が上がる傾向にあるというわけです。(もちろんオイルを塗るなどの日々のメンテナンスは必要)
5)デザインされた初期に生産されたものである。
ヴィンテージの魅力はやはり経年変化です。年月が増せば増すほど味が出るので、初期のものほどやはりその魅力は増します。
また、前編で述べたように、初期であればあるほど、分母(供給)は小さく、結果、価値が上がりやすくなるのです。
さらに、初期のものは、デザインした当事者のこだわりが、ディティールにしっかり反映されているという点も見逃せません。
6)用途の需要が多い。
1)〜5)の条件が当てはまっていれば、ほぼ価値が上がる事は間違いないのですが、あまりにも用途が無さ過ぎるものに関しては、そこまでの価格上昇が見られないものもあります。
しかし、同時にそういったものは、そもそも生産量が少ないので結果として価値があがるケースもあるので、そこは見極めが必要です。(アアルトのドアノブなど)
さて、三回に渡り、分かりやすく説明してみたつもりですが、いかがでしたでしょうか。少しでも参考になったのであれば嬉しく思います。
※色々と例外もあるので、一概に全てこの通りというわけではないことをご理解いただきたいと思います。
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